連載◎第23回本屋さんを作ろう 2010年05月21日更新
しばらくぶりの更新となってしまいました。
雨、雨、雨に見舞われた今年の梅雨もようやく終わり。
高原の短い夏が今始まろうとしています。
更新をお休みしている間に、我が家では悲しい出来事がありました。
4年間ほど一緒に暮らして来たウサギが、何ものかの野生動物に襲われて、ある朝、冷たくなっていたのです。
ウサギが暮らしていたのは、母屋脇の小さなウサギ小屋。犬小屋のようにしっかり壁と屋根もあり、扉にも鉄製の網が張られていました。けれど、発見したときにはその網が破られていて...。
これほどの力を持っているなんて、もしかしてクマだろうか。でも、基本的に草食のクマがいたずらでも家畜を襲うなんてあまり聞いたことがありません。
地元の猟友会に所属するお知り合いに念のため現場を見てもらったところ、おそらくたまたま通りかかった野犬の仕業ではないかとのこと。(普段ほとんど見かけたことはなかったのですが。)それもはっきりとした確証はないままです。
しばらくはショックと悲しみで、ただただ呆然とするばかりでしたが、少しずつ日が経つにつれ、これも森に暮らす上では覚悟しておかなければならなかったことかもしれない、と思うようになりました。
普段、街に暮らすのと同じような感覚で我が物顔で生活をしているけれど、ここはやっぱりまだまだ自然が色濃く残る場所。クマやイノシシ、カモシカなどとは時々遭遇しますが、この他にも私たちの目には見えないたくさんの森の生き物と同居している__むしろ私たちが"間借り"している__ということを、今回の事件は思い出させてくれました。
弱肉強食の野生の世界。それはなにもサバンナの草原に限らず、私たちを取り巻く小さな森や林のなかでも起こりうる自然界のしきたりなのです。森に暮らすからには、そこでのしきたりやルールに従わなくてはなりません。

人が森に暮らすとき、気をつけなくてはいけないルールはいくつかあると思いますが、もっとも大事なのは、自然界の生き物との距離の取り方かもしれません。
これは軽井沢に限らず全国の山里で問題となっていますが、クマやイノシシ、シカなどが民家の近くに現れ、畑や、時には人にまで危害を与えることがたびたび伝えられています。理由は様々ですが、軽井沢で野生動植物保護に携わる担当者に聞いた話では、ひとつには人間側の不用意なゴミの捨て方などが原因でおびき寄せてしまっているといいます。一度味をしめたら、彼らは習性的に近づいてきます。一晩だけだからと生ゴミを外に置きっぱなしにしたり、家庭用コンポストなども実は要因になりやすいのだとか。私たちにとっても他人事とは言いきれません。
生き物との関わり合いという意味では、動物だけでなく植物についても注意する必要があります。
近年、人気が高まっているガーデニング。軽井沢周辺でも美しい花が咲きそろう庭をたくさん目にします。自然と触れ合うことで発見や喜びを感じられるガーデニングですが、美しくしたいがためだけに、もともとの地の植生を無視して外国産などの品種を多用してしまうと、植物の世界だけでなく、密接に関わる昆虫などの生物界にも思わぬ影響を与えてしまいかねません。

こうして見てみると、森に暮らすルールとはすなわち、本来そこで保たれてきたバランスを崩さないことなのだと感じます。
もともと人と動物がうまく棲み分けてきた森に、私たちは今ずかずかと境界を越えて踏み込んでしまっています。そして、時間をかけてその場に築かれてきた微妙なバランスを、お構い無しに自分たちの都合のよいように変えてしまおうとしています。
私たちも、普段その恩恵を受けながら、無意識にであってもどこかでバランスを壊すことに加担してしまっているかもしれません。
少し飛躍してしまったかもしれませんが、今回のウサギの悲しい出来事は、森暮らしの良い面だけを見てふわふわと浮ついている私に、時には残酷なまでに厳しい一面が付き物であることを、森がガツンと忠告してくれたような気がします。
森暮らし7年目。近づいたと思えば突き放されたり、そうは言っても日々たくさんの恵みを与えてもらっていたり.....。森との付き合いは、まだほんの入口に立ったばかりです。
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暮らしのまわり、森の周辺。
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住まいづくりを手がける企業として、家のことだけを考えるのではなく、毎日の暮らしをちょっと楽しくする情報をお伝えしていきたい。そんな思いからスタートしました。
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著者紹介
藤野麻子
フリーライター&週末カフェ店主。

浅間山の麓、北軽井沢に暮らしながら、週末のみ自宅にてカフェ「本とコーヒー麦小舎」をオープン。
長野を中心に取材・執筆をちょこちょこと。麦小舎発リトルプレス「Forest & me.」の企画・編集に携わる。
www.mugikoya.com
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