便利なんだけどなぁ

今日は弊社の｢支払い日｣だった。

弊社は４０年間ずっと変わらず、毎月の支払い日は｢１３日｣となっている。ほとんどの会社が月末とか１０日とか２０とか・・・区切れのいい日にしていると思うのだが、何故か中途半端な１３という数字になっている。先代（父）がいれば、社長になって７年目の現役社長として一番尋ねてみたいところではある（汗）。

毎月１３日に現金で払う。今日も（おかげさまで）多額ではあったが、お客様からお預りしたお金を無事現金にて送金することができた。そう、送金なんです。今は法人版｢インターネットバンキング｣という超便利な振込システムが出来、弊社もすべての金融機関においてそれを愛用させていただいている。

以前は・・・といってもこのインターネットバンキングができる前なので、６・７年前までは小切手を切って渡していた。今考えると何ともいえないローカルな、｢人｣が中心の懐かしい風景だ。それを考えると今の便利なシステムに・・・｢人｣はいない。パソコンのキーボードを押せば勝手に送金してくれる。

昔（小切手時代）は毎月１回、取引先様と顔を合わせる。｢ごめんくださーい！集金に参りましたー！｣、｢どうぞーお上がりくださーい！｣からはじまり・・・｢お疲れ様でした・・・（と、小切手を渡す）｣。｢いつもありがとうございます。（領収書を頂く）｣。｢お茶でもどう？｣ここから（実は貴重な）雑談タイムがはじまった。お互いの信頼関係を築く場であり、世間や仕事の情報交換の場になっていた。

しっかりと顔を合わせ、仕事をしてもらった御礼を言い、させて頂いた御礼を言い、お互いお客様への感謝を思いながらいろんな情報交換（上記の雑談）をする。これこそダイコクのテーマであるローカルな家づくりのひとつであるように思うのだが・・・

実は先月（２月の支払い時）、それを久しぶりに実行してみた。

取引業者さんらが、朝からどっと弊社に訪れてくれた。お茶を飲みながら｢どう、たまにはこういうのもいいでしょ？｣と聞くと、｢いやー大変いいとは思う。本来あるべき商売の姿だと思う。だが、正直振込手数料を引かれても、振り込んでもらった方が実に助かるんだよ。集金にかかる時間、車のガソリン代、収入印紙代を考えれば、その方がずっと助かる｣と言った。

うーん。確かに今の時代を物語っている。集金の時間さえも、今はそんな余裕がないのだろう。ないわけではないが、ないように日々感じているのだろう。何とも忙しい世の中になったと感じる。

今日、本当に便利になった振込システムを使いながら、ふと先月の｢ローカルな支払い風景｣を寂しく思い出していた。｢便利｣や｢効率のいいもの｣の裏には、大切なものがたくさん失われているように思う。