代表中澤の日々の徒然

POST: 2009.03.01

万感の思い・・・〈家は家族の一員〉

夕方4時半、太田専務(弊社の専務取締役。以下専務とします)が帰社した。一日中今日はお客さまと打合せをして、最後に建替え工事のため、明日から解体工事に入るお客さまのお家を見てきたようだった。「社長、いまSさんのお家を見て来たんだが・・・」とお茶を飲みながら話しはじめた。

明日から解体させて頂くお家は、先代からお世話になっており、既にご主人は他界し、奥様と若夫婦家族が同居している二世帯住宅、言うまでもなく長いお付き合いをさせて頂いているお客さま。引越しが終わり、あとは解体するだけになっていたことは私も把握していた。専務は明日からの段取りのために確認に行ったのだった。玄関を開けさせて頂き中に入った・・・玄関の床から廊下がピカピカに雑巾掛けがしてある。靴を脱いで中に入ると、各部屋床から壁まですべてきちんと雑巾がけがしてあり、明日からまた新しい住人が入るが如く、きれいになっていたとのこと。どれだけこの家に施主さまの「思い」があるか、その瞬間に専務はわかったと言う。私ごときが予想しては大変失礼だが、おそらく新築時の若い時の苦労や、子供の成長と共にあるたくさんの思い出、そして無くなる寂しさ、家族を守ってくれた感謝・・・きっと、いや絶対にお施主さまは、この建物に対し「万感の思い」で雑巾がけをしたに違いない。この話を社員に話す専務の目も少々潤んでいるように、私には見えた。

弊社の場合、解体する家をきれいに雑巾がけまでするお客さまは、少なくはない。しかし程度は確かにある。今まで、そこまで愛着を持たれ住んで頂いたことに工務店として感謝はもちろん、嬉しくてしょうがないが、家づくりという「やりがい」を同時に感じる。建替えのお客さまが解体時に皆通る道・・・そこにある万感の思いを我々は決して忘れてはならないと思った。