私の思い㉕展示場との別れ

ようやくすべてが少しずつ軌道に乗ったころ、以前から地域の話題になっていたことが現実となります。

長野市による都市計画道路の工事決定です。

これにより残念ながら思いがいっぱい詰まった事務所そして展示場の解体を余儀なくされ、移転が正式に決まってしまいました。

この都市計画そのものは私が生まれたころ決定されたもので、長い年数が経過していたため計画倒れになる気配がしておりましたが、予定通り行うとの決定がくだされました。この連載中のブログの通り、たくさんの方々の協力を得て立ち上げた展示場、そして展示場と共に新しくスタートしたダイコクでした。残念な思いはもちろんですが、街のために、地域のために移転の準備に入ります。

生前父である先代からは、移転の際の助言は聞いておりました。

もしその話が来たら、時間を掛けずすぐに賛成するように・・・

そしてもう一つ、（移転先は）篠ノ井からは出ないように・・・と。

父の思いの通り、私もそうしようと思ってはいました。それにしても本当に現実になるとは・・・。

事務所も展示場もすべての敷地が移転対象となるため、その候補地もいろいろ検討しましたが、幸いにもお隣の方やお向かいの方が土地を譲ってくださり、いまのアトリエの場所に移ることが出来ました。

「ダイコクさん、ここに来ればいいよ」創業の場所近くに残れたこと、今でも思い出すたびに胸が熱くなります。

オーナーとの出会いの場になった展示場、たくさんのご協力を得て建てた地域工務店による単独展示場、当時の金融機関の皆様の姿勢、はじめて自分自身に覚悟が生まれた場所との別れ。お世話になったお顔が浮かぶ中、解体工事へと移転は進んでいきます。

2016年、平成28年ごろのことでした。

≪つづく≫

創立55周年連載企画「私の思い」25/30