代表中澤の日々の徒然

POST: 2024.02.22
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私の思い㉖新しい事務所

移転に伴い新しい事務所の準備に入った。

以前の展示場と事務所の建設は言葉は悪いですが「売るための設備投資」だった。完成して数年が経ったころからそういうことを感じていた。当時は国産や長野県産の木を使い、パッシブソーラーで、広がりのある間取り、環境と住み心地の良い住まいをアピールして建てたものだった。でも今やダイコクのその使命は終わり、県内のたくさんの住宅会社や工務店は長野県の木に着目し、環境を重視した家づくりに取り組んでいた。

「売る」ための展示場は要らない。

それが新たにつくる建物(事務所・展示場)のコンセプトにしたかった。こういう材料を使って、こういう性能評価で、こういう効果があって、環境や家計にもやさしいです・・・ではなく、建物の外観と内覧を感じていただくだけで、ダイコクのめざしているもの、新たな使命を感じていただける建物をつくろうと考えました。

いかにも会社です、展示場です、営業マンがいます、ゆっくりどうぞご覧ください・・ではなく、ダイコクらしい普通の住まいをイメージして、こういう街づくりに取り組んでいきます、こういう家づくりに取り組んでいきます、という佇まいにしたかった。

もはや暖かい家などはあたりまえ、地震に耐える家はあたりまえ、かっこつけの豪華な展示場こそ、つくるだけで将来廃棄するゴミを増やすだけ。そんなことはもうしないと誓った。

設計はもちろん田中敏溥さんにお願いさせていただきました。田中さんに普通に設計していただくだけで、自然とコンセプト通りになると思っておりました。

前回は展示場と事務所を別棟にしましたが、今回は仕事をする場所、働く場所を1階に設け、コンセプトショールームを2階に設けるものにしました。シンプルで飽きのないいつものダイコクの室内、それをそのまま事務所にした1階は、お客様をお迎えしながら、設計の様子をそのままオープンにご覧いただけるような、そんな場所に設計してくださいました。そして階段を上がっていくと、ダイコクの居住へのこだわりが十分感じ取れるように設計することができました。

新事務所の名称は「篠ノ井アトリエ」。父の覚悟の創業の地を入れ、設計やら職人がワイワイと工房に集まって、そこから小さく謙虚な住まいが生まれる・・・上手く言えませんがそんなことをイメージしています。創業以来大変お世話になった地元の方々への感謝の意も含まれています。ちょっと篠ノ井が有名になればなぁという邪心と恩返しもあります。

「篠ノ井アトリエ」完成予想模型

≪つづく≫

創立55周年連載企画「私の思い」26/30